日常でも常に全力で

松井秀喜氏がNYヤンキースと一日だけ再び契約するという。
引退セレモニーに合わせてのことで、これで松井氏は
「元ヤンキース」となるわけだ。
松井の気取らない人がらが人望を集めているのは
よく知られているけれど、ぼくが思うに、彼の凄みは
本塁打以上に、凡打の時の1塁への走塁にあった。
彼が一塁への走塁に手を抜いたのを見たことは一度もない。
どんなに凡打でもアウトになる瞬間まで
決して全力で走ることを止めなかった。
ぼくも学生時代に野球選手を長くやったが、ぼくのように
なかなか試合に出られなかった人から見ると、
一塁へ一生懸命走らない選手は、どんなにスター選手でも
好きになれない。
「試合に出られるのは幸せな状況なのになあ」と思う。
高校野球なら当たり前だろう。
でも、毎日ゲームをすることが当たり前のプロ野球選手にとって、
毎日、全力で走ることは難しい。
最初は特別な日であっても、それが日常になるからだ。
飽きて退屈するのが常だ。
それでも全力を出し続けることは、容易なことではない。
でもそれが松井氏はできた。なぜだか訳を知りたい。
松井氏でさえ、限りなくセーフになる可能性の少ない確率に
かけて全力で走っているんだから、自分も常に全力でなきゃね。
プロってそういうことだよね、って松井氏なら言いそうだ。
プロの技で励まされるのは、
何もホームランや完封劇だけではないのだ。