理想と現実

先日、『平成狸合戦ぽんぽこ』を見た長女が、映画をそのまま
本にしたのを、図書館から借りてきて読めという。
近くに散歩に行ったとき、実際にたぬきを見たからなのか、
えらく気に入っているようなのだ。
結構、長い話で、読むと30分近くかかるかもしれないが、
計2回読んで聞かせた。
で、ある日、眠る前にこんなことをいう。
「車とかバイクとか、たぬきをひいちゃうけど、
たぬきとかのことも考えて、車とかバイクをつくったほうがいいよね」
というのだ。
そのときは、「そうだね」とだけ応えて眠った。
数日後、その話を彼女に向けてみた。
「どうしてそう思ったの?」
「だって、たぬきがかわいそうだから」
というのである。
動物がかわいそう、というのは、幼児によくある発想だ。
私がおもしろいなと思ったのは、
「たぬきのことも考えて、車やバイクをつくるのがいい」
といったことだ。
車やバイクは便利なものとしてその価値を認めながら、
たぬきと共存するために、「たぬきのことを考えたモノづくりを」
といっているので、親ばかながら感心した。
車やバイクをなくすのは現実的でない。
でも、たぬきを引き殺さないですむモノづくりをすることは
できるはずなのだ。
理想と現実の接点を見出すこと、それが企画の原点だと思う。
長女にはそういう発想を伸ばしていってもらいたい。