「認知症」が教えてくれること

「痴呆・認知症」についての本をつくりたいと思っている。
いまは認知症という呼称になっているが、
本質が語られるならどっちでもいい。
今後、近いうちに日本だけで400万人もの認知症を発症する
という予測もある。
認知症は病気であるが、老いの一過程ととらえる人もいる。
人間の認知がどのように「ほどけて」いくかを
理解することは、人間そのものを理解することと繋がる。
認知症患者は、作り話をすることがある。
それらはすべて彼ら自身の自尊心が保たれるようにできている。
人間は社会的な動物で、自尊心を持って生きていくことが、
その人の健康な生活に必要な要素であることがわかる。
とにかく、認知症患者について学ぶことは
新生児について学ぶのと同じくらい、人間を理解する手掛かりになる。
ただし、認知症患者を抱える家族は、新生児を抱える家族とは
比べ物にならないほど苦労する。
認知症という、この長寿社会に突き付けられた課題を解決するのは
医学や社会学の仕事だが、認知症患者やその家族の救いとなる
知識を提供するのは、出版の勤めだろう。
誰もが気軽に手に取れる「ボケの本」を近いうちにつくりたいと思う。