「レスラー」

老レスラーがリングの未練絶ちがたく、必死に生きる道を探してもがく。
そこに自分の娘との雪解け、ショーガールとの淡い恋も芽生え……と
いった出来事が起こる。そんな映画。
主演はミッキー・ローク
たぶん、この人の映画は初めて観たんじゃないかな。
昔、深夜のボクシングの試合で、若き日のミッキー・ロークを観た。
伝説の「ネコパンチ」である。
それ以来、彼にはいい印象がなかった。
だが、なんの、今回はとても好印象だった。
かつて、名をはせたプロレスラーのランディは、年をとって落ちぶれ、
小さなプロレス団体のマットを渡り歩く。
同時に、スーパーマーケットでも客の前に出て働く。
娘との確執からひとり身で、トレーラーハウスで暮らす。
その家賃も払えなくなる。
身から出た錆びとはいえ、不器用な男がどうにかして自分の居場所を
探してもがく様子は、人ごととは思えない。
生きるためにプライドを捨て、一生懸命やっても報われない日々。
「いい奴」というだけでは、メシは食えない。
「自分の居場所を探してもがく」そう、うん、この映画はそういう映画なのだ。
病気になったら誰だって気弱になるし、年をとったら孤独を感じる。
そばに誰かいてほしいと思ってみても、それを実現させするのは難しい。
他人からどう見えようと、自分のあるべき姿にこだわる様子は
男として共感できる。
「カッコ悪くても生きなきゃな」
そういうメッセージをもらったような気がする映画でした。