『ほんとの野菜は緑が薄い』

無農薬無肥料による、いわゆる自然栽培を提唱する本。
有機栽培は有機肥料に問題があることや、
自然栽培に移行してもしばらくして畑の不純物が
抜けるまでは本物の野菜は育たないこと、
自然栽培をしていても、自家の種でない限り、
買った種に農薬が含まれることなどを指摘している。
「〜だと思う」「〜ではないでしょうか」といった記述が多く、
著者は自分の言説に自信がないのだろうかと思ってしまう。
そう思ってしまうと、この本の信憑性が薄れる。
とはいえ、タネを買うのではなく、畑で取れた作物から
タネを取り出し、またその畑に播くことで、不純物が畑から
抜けていき、最終的には完全に自然栽培で野菜がつくれるという。
そんな畑には虫も寄り付かないという。
別の本では田んぼにはミミズがたくさんいるほどいい土だと
書いてあったが、この本ではミミズが働かなくてはいけない土は
それだけ分解しなければならない土だから、まだ本物の土ではない
と書いてある。
このことは、稲作と畑作の違いかもしれないが、
つくりたいものが違うので、方法論も違うということだろう。
こういう本を読むのは、おそらくこうした自然栽培本に共通する
自然界の法則のようなものがあって、それは農業という人工的な
ものであっても、生態系をベースに考えなければならない
ということを確信するためでもある。
どの本にも共通するのが、雑草、害虫、雑菌といった概念は
大量消費の、効率的な社会を目指そうとするなかで生まれたもの
であるということだ。
自然界の営みによいも悪いもなく、
それぞれの生物が種を反映させるために、生きているのみだ。
これまで得た知識と符合する点も多く、勉強になる一冊だった。