足るを知ることができるか?

人間というのは、欠落した経験がないと、
それを得ても幸福は得られないのだそうだ。
「それ」というのは、なんでも当てはまる。
たとえば、食べもの。
食うのに困ったことがある人でないと、
食べられるのが当たり前になってしまい、
たんに食べるだけでは満足を得られなくなってしまうのだという。
いまの日本では多くの人が衣食住は足りている
(もちろん例外はあるが、例外を含めると何もいえない)。
衣食住が足りているだけでは満足は得られない。
だからより高い質の満足を得なければならなくなる。
昔は10願って1叶うかどうかだったが、
今は9叶うが1叶わなくて不満になる時代である。
そんななか満足感、幸福感を得るのが難しい。
冷静になって、客観的になって、
「雨風をしのげる家に住んで、暖かい衣服を着て、空腹を満たせる」
といって、幸福感を得られる人がどれだけいるだろう。
やはりある程度のところで、「これでいい」と思うことが必要だ。
欲望と充足感のバランスととること。
難しいが、修行だと思えば、案外たのしいかもしれない。