『もし高校野球の女子マネージャーが・・・』

『もし高校野球の女子マネージャーが
ドラッカーの「マネジメント」を読んだら』
が正式なタイトルである。
内容はタイトルどおりで、
最も有名なビジネス書といってもいい、オーストリアの経済学者
ピーター・ドラッカーが記した『マネジメント』を読んだ野球部の
マネージャーが次々に部内を改革していく話である。
組織とはどうあるべきか、組織の目的は何か、顧客とは野球部の場合、
何であるかを登場人物が考えながら話は進む。
話のポイントで、「『マネジメント』にはこうある」と引用がなされる。
マネジメントは組織と会社経営について書かれたものでありながら、
どんな組織にも、非営利団体にも考え方が通用することを、
著者が野球部を通して描いている。
主人公「みなみ」や部員たちが考えるアイデアはなかなか秀逸である。
たとえば、他の部(陸上部や調理部)などとコラボして、
互いに効果の出る活動をしたりする。
また部員に少年野球のコーチをさせたり、名門大野球部にいる
甲子園経験者を招いて講演させたりする。
著者がどれだけ野球を知っているのか不明だが、15年野球をやってきた
私から見てもこうしたやり方はどんな野球部にも通用すると思う。
読んでいると、また高校野球をやりたくなってくるほど
生き生きと描かれているのだ。
この物語を通してわかることは、『マネジメント』は仕事のやり方や、
会社という組織の運営について書かれている本であるにも関わらず、
その根底には深い人間の洞察があることである。
どういう条件が揃ったときに人はがんばれるのか、
どういう環境が人をやる気にさせるのか、ということが
とてもわかりやすく、野球という身近な題材を通して語られるので
かなり面白く読めた。10代特有の感覚なんかも巧みに織り込んでいて、
物語としても完成度が高い。これなら10代でも読める。
ドラッカー入門の初歩の初歩としても格好の本だろう。
『マネジメント』も読んで自分の仕事に活かせたらと思った。