出版人に酒好きが多いわけ

やっとわかった。
なぜ出版関係者に酒好きが多いのか。


他の職種は知らないが、編集者やライターは酒好きが多い。
浴びるように飲む人も少なくない。
昔はただ単にストレスフルな職種だからと思っていたが、
最近になってその気持ちがわかる気がする。
その内容はたぶんこういうことだ。
編集者やライターは、ある仮説のもとに原稿を依頼したり、
取材したりする。
「たぶんこの人ならこういうことが書けるだろう」
「こういう本、雑誌ができるだろう」
と思って取材対象者に当たる。
しかし、原稿になったものは最初の仮説どおりにはいかない。
編集者も記者も人間だから
「本当にそうだろうか」
「私はこう思うのだが」
という思いが当然出てくる。
しかし、ジャーナリストではないから、自分の思い、考えを
そのまま記事に反映することはできない。
自分の思い、考えが反映されないものが世に出る。
これはストレス以外のなにものでもない。
わかるだろうか?
時に編集者やライターは無意味な虚無感に襲われる。
「こんなことを続けて何の意味があるのだろうか?」
そういうとき、どこかに自分の思い、考えを吐露する場所が
必要になってくる。
自分の中で考えを整理し、自分のフィルターでろ過しないと、
やりきれない思いだけが沈殿する。
思い、考えを吐露する場所として、
ある人は居酒屋を選ぶ。
そういうことではないだろうか。
反映できない思い、考えを吐き出すのだ。
そうして吐き出しているときに、自分の考えを整理する。
つまり、「あの原稿はこういうことだったのだ」と。
そうすることで、やっと前に進める。
ドロドロが沈殿したままではやってられないのだ。


私の場合、このブログが考えを整理する場になっている。
取材し、話を聞いた内容を自分なりに解釈し、
自分の考え方に反映し、納得したいからだ。
そう、納得したいのです。
深く合点したいのです。
一個一個を整理しつつ前に進みたい。
「あの話はいったいどういうことだったのか」
ということを、自分なりに得心したい。
このブログは私の精神安定剤です。


毎日のように居酒屋に繰り出す編集者やライターを見ていて、
別の吐き出す場所があれば、酒浸りにならなくていいのにと思う。
たとえば、誰かに話すとか。
要は酒飲んでしゃべって、自分の思いを聞いてほしいのです。
いま仕事のストレスに悩んでいる人は、
どこかに吐き出す場所をつくるといいと思う。
ブログに書いてもいいし、恋人に聞いてもらってもいい。
書いたり、話したりするときに、自分で整理し、
ものごといっさいをろ過できる。簡単なことだ。
そうしたら、明日も前に進むことができる。