進化の袋小路

カッコウという鳥は托卵という行動をします。
自分で巣をもたず、他の鳥の巣に卵を産みつけるのです。
カッコウの卵は、本来の親が産んだ卵より先に生まれ、
他の卵を巣から落としてしまいます。
一羽だけ残ったカッコウは、「親」の寵愛を独り占めして育ちます。
でも、卵を産みつけられた鳥はやられてばかりではありません。
卵を見分けるように進化します。
カッコウのほうも見分けられないように、産み付ける巣の卵と
自分の卵を似せるように進化していきます。
カッコウは体温が低く、自分で卵を温められないのだそうです。
体を温めるように進化することはできないらしいのです。
だから、カッコウはいったん悪の道に進んだら、
徹底的に悪の道に進むしかないのです。


で、動物を見ていくと、人間以外の哺乳類は脳幹が権力をもっている。
大脳皮質は脳幹の飾りのようなものです。
しかし、人間は大脳皮質のほうを進化させていきました。
これによって大脳皮質のほうが権力をもつようになっていきました。
大脳皮質は人間らしい知識をベースにした判断が行われていますので、
人間は理詰めでものを考えるようになっていったというのです。


つまり、カッコウが悪の道をとことん突き進まなければいけないのと
同じように、人間も大脳皮質を肥大させる道をとことん進まなければ
ならないということです。
後戻りはできない。
種として進化するということは、生き延びる道でありながら、
実は進化の袋小路に入り込み、やがて滅びる道であるのかもしれません。
そんなことをたまに考えたりしています。