これでいいのか景気対策

麻生総理になって、次々と景気対策案が進められている。
住宅ローン減税にはじまり、高速道路料金値下げ、果ては交付金だって。
喜んでいる人もいるかもしれないが、ぼくは反対です。
小泉構造改革で政府の財政赤字を改善するために国債発行を30兆円に
したり、プライマリーバランスの黒字化をかかげて、やっとこの数年
それを達成しかけてきたのに、これではまったく逆戻りだ。
政府の赤字のほとんど国債発行残高による。
これがいま700兆円を突破している。
アメリカのように国債の45%を海外の国が持っているのとは違い、
日本政府は日本国民に借金している。
国債を個人で買っている人もいれば、
私たちの預金が国債で運用されているケースもある。
だから、借金が増えてもいいということにはならない。
いまの政府の赤字は1000兆円を超えていて、
プラスにならないまでも数百兆円で留めておくのが
適正レベルと言われている。
つまり、現状は明らかに危険水域に達しているということだ。
せっかく財政改善軌道に乗ったのに、景気が悪化したというだけで、
財政出動(バラマキ)をやる。この国の政治には長期展望という
言葉はないらしい。
麻生総理が指示する景気浮揚策は、一時的な効果はあっても
根本的に景気を下支えするものには到底ならない。
なぜなら、将来不安があるからだ。
年金や介護費用の問題、不測の医療費など、
お金を蓄えておかなければ心配なことが多すぎる。
結局、将来不安を取り除かなければ、お金を使おうという気にならない。
これは「地域振興券」のときにさんざん議論されたことだ。
それを今になって同じ轍を踏む意図は、選挙対策しかありえない。
耳障りのいい言葉だけを並べれば、有権者はなびくと思っている。
財政赤字が増えると、いつかどこかで誰かがツケを払わされる。
自分の世代かもしれないし、子ども世代かもしれないし、
孫世代かもしれない。
孫に組んでもらうローンで、私たちは便利でたのしい生活を
謳歌しているのだとしたら、やりきれない。