死ぬまでにしたい10のこと

ガンで余命3か月と言われたら、何をするか。
ガンだけは命の猶予を与えてくれるんですね。
主人公の女性は17歳で結婚し、二人の娘の母親でもある。
失業中の夫と、母親の家の敷地のトレーラーハウスに住んでいる。
彼女は余命2〜3月と知って、死ぬまでにやるべきことを
10個列挙する。
全部書いてしまうとネタバレになりますが、私が気になったのが二つ。
ひとつは、「夫以外の男性と恋愛してみる」ということ。
もうひとつが、「娘たちに新しい母親をつくる」ということ。
死の恐怖のなかで、この二つのことを同時に成し遂げる精神力は
尋常ではないと思う。夫や娘を心底愛しているけれど、自分の「生」も
確かめてみたいという激しい欲求も同居する。
このうそっぽいけれども、人間くさい生き様がなかなかよい映画なのです。
映画を見てふと、自分だったら何を書くかなと思う。
それが具体的で今すぐできること、たとえば、昔世話になった人に会いにいくというような場合、明日死ぬとしたら今すぐ電車に乗るだろう。
でもそれが半年後だったら? 1年後だったら? 10年後だったらもう
ほとんどどうでもよくなる。
自分はそのようにして生きているんだなあということに
気づける映画だと思う。
この映画は死を目の前にしてどう生きるかを問うているけれど、
普遍的な生と死の問題というよりは、主人公の生き様に
共感できるかどうかを問うているような気がする。
基本的にはあざとい泣かせる演出がないぶん、もの足りなさを感じる人
もいれば、淡々としているところがいいという人もいると思う。