軍事力と経済力のパワーゲーム

大騒ぎになっている北朝鮮のミサイル発射について、
ちょっとここで自分なりに整理しておきたい。
まずこのミサイル発射がどういう意図で行われたかということに
ついては、自ら危機を作り出し、緊張を高め、
「今後、ミサイルを撃たないから、金(あるいは支援物資)をよこせ」
という瀬戸際外交と呼ばれる北朝鮮独自の戦略と断言していいでしょう。
それに対して、日本がとった行動は、「日朝平壌宣言に反するものだ」
という声明を発表したこと。
日朝平壌宣言は「拉致問題の解決」と「大量破壊兵器生産の放棄」が
行われれば、北朝鮮に経済協力を行うという内容のもの。
今回、日本は2番目の宣言に違反してますよ、と言ったわけだ。
そして、次に日本の防衛庁長官が「先制攻撃の可能性」に
ついて言及した。
「やられる可能性がゼロとはいえない状況で、先制攻撃をすることは
自衛の手段。憲法もそのように解釈できる」
ということを言ったわけです。
北朝鮮アメリカと日本へ向けたメッセージが、
ミサイル発射であったと思います。
事実、テポドン2号はアメリカの領土の一部が射程範囲になるのです。
こうした現実を冷静に見ていくと、
わかってくるのは次のようなことです。
北朝鮮が日本の領土に着弾するようなミサイルを撃ってくることは
現実的にはまずありえない」
「日本が先制攻撃することは、自衛隊の能力的にも不可能だし、
政府首脳も考えてはいない」
ということです。
韓国が言う「大騒ぎしすぎ」とか、「武装の口実にしようとしている」
などというのは論外です。
「将来的に武装する必要も出てくる」という今までの説から
一歩踏み込んだ表現をしたということでしょう。
経済制裁をするよ」ということと、「先に撃つかもよ」ということは
北朝鮮に対する、「協議の場に出てきなさい」という強烈な
メッセージだと受け取りました。
第一、「先制攻撃」に国民の同意が得られるとは到底考えられません。
日米同盟があり、イラクの例を見ている北朝鮮
日本を攻撃できるはずがない。
アメリカが北朝鮮に対して強硬姿勢に出られないのは、
イラクのときの石油利権のようなものが北には見出せないからでしょう。
中国、ロシア、韓国を除く世界の国々はもっと感心がない。
これは日本国民が遠い国の出来事と思っていたイラクへの
感心と同じようなものかもしれません。
ともかく、必要以上の危機感を「平和ボケ」と言って煽り、
扇動しようとする輩がいるのはとても危険ですね。
北朝鮮がやっていることは、銃を突きつけ
「撃たないから金をよこせ」というのと同じです。
それに対して、日本は「撃ったら金庫の鍵を海に投げちゃうからね」
としか言えないのが現状です。
いま世界は軍事力と経済力のパワーゲームで動いています。
そのパワーゲームで、本当の意味で主導権を握りたいのなら、
憲法を改正し、税金を高くし、社会保障を犠牲にしてでも
莫大な費用を軍事力強化につぎ込むしかない。
高齢者や病人を切り捨てても軍事大国になるしかない。
そういう世の中にしますか?
それとも経済的にアメリカのいいなりになりながらでも
都合よく守ってもらうようにしますか?
ということを、国民は突きつけられているんだと思います。