案ずるより生むが易し

地方の大学生が東京に出てきて、母親と二人暮らしをする
という話を書きました。
そういう話をほかのところでしていると、いろいろな話が聞けます。
最近の大学生は5人に1人が親のローンで、
学費を払っているですってね。
いま儲かっているのは企業です。そのなかでも特に大企業が儲かって
いるのですが、個人はあんまり儲かっていないのです。
いま大学に通わせている親は55歳前後です。
55歳になると、給料が横ばい、もしくは減る傾向にあります。
そんな中で、子どもを大学に通わせるのは大きな負担です。
だから、親がローンを組んで学費を払うようになっているわけです。
大学で体育会系のスポーツに打ち込めるのは、一部のお金持ちだけに
なってしまう時代がもうやってきています。
日本はアメリカ型の世界を目指していますから、貧富の差が拡大し、
格差社会になりつつある、もしくはなっているといわれています。
少子化は、たくさんの要因が複合的に重なり合った現象だと思うのです
が、ぼくとしては「子どもを育てるのにお金がかかる」という思い込み
が背景の一つとしてあるような気がしています。
幼少のころから英語の塾に通い、私立の中学・高校を受験させることが
前提で「金がかかる」と考えているのではないでしょうか。
すでに子どもを産んだり、話を聞くと、「お金がかかる」という話は
あまり出てきません。
ぼくの周りで子どもを産んだ人たちを見ると、
それほど裕福ではないが、そもそも子どもに特別な教育をさせよう
と思っていないようなのです。
それよりも「ハイハイをはじめた」「言葉を話しはじめた」という
話をうれしそうに話してくれます。
産んでしまえばなんとかなっているということではないでしょうか。
一方、まだ産んでいない人、産もうとしている人ほどお金の話をする。
たぶん、もともと塾や私立校に通わせようなどと思っていない
人はけっこうあっさり子どもを産むのだと思う。
富裕層もけっこうあっさり子どもを産むのだと思う。
しかし、それほど収入が少ないわけでもないのに、塾やお受験の
テレビ番組を見て、富裕層並みに「塾や私立校に行けないのは
かわいそう」と考えている人ほど躊躇して
産めなくなっているのではないか。
子どもを大学に通わせるには、子ども自身に稼がせればいいし、
奨学金をもらってもいい。役所にいけば、育児にまつわるいろいろな
制度があり、家計を助けてくれるようになっています。
文字通り、案ずるより生むが易しだと思うのですが、どうでしょうか。