卑怯

いま大ベストセラーになっている「国家の品格」という本がある。
この本の著者である藤原正彦氏が、子どもに「卑怯」について
教えなければならないと書いている。
いじめについて、弱い者や体の小さい者に暴力を振るったり、
大勢で1人をたたくのは「卑怯」だからダメだという。
そこには論理はいらない。「ダメだからダメ」でいいのだという。
そして、「なぜ人を殺してはいけないか?」についても
「ダメなものはダメ。以上」でいいのだと解いている。
何でも理由をつけて、論理で納得したがるのが
今の子どもたちであり、大人たちでもあるのだが、
この本に書かれてあることは大変よく理解できた。
もちろん、すべての意見に賛成というわけではないけれども。
確かに、ずるいからとか、卑怯だからという理由は
今はあまり使わないような気がする。
ビジネスの現場で「それはずるいと思います」とか、
「卑怯だと思います」と言ったら笑われるだろう。
でも自分たちが子どものころは、「卑怯」とか「ずるい」という
言葉には異常に敏感で、それがカッコ悪いことであり、
最も恥ずかしいことであったことは間違いない。
振り返ってみると、自分の行動基準として「卑怯」とか「ずるい」
と言われないようにしてきたところがあるなあとハッとした。
思うのと実践できるのとはまた別だから、
「あなたって卑怯だよね、ずるいよね」
と何度か言われたこともあるけれど。
今の大人社会で「卑怯」であり、「ずるい」ことは、
「自分だけうまくやろうとすること」
「助けてもらったのに、助けてあげないこと」
「独り占めしようとすること」
「借りたモノを返さないこと」
「営業トークで良いことばかり言って、悪いことを話さないこと」
「人の不安を煽って、モノを買わせようとすること」
「わざと負けること」
「卑怯」と言われないように、明日からこれらをしないようにします。