映画『ルディ』を観て思った2つのこと 

ルディ

「夢は強く思えば必ず叶えられるんだ」
このことをもっとも端的に描いた映画として
この映画はよく知られています。
主人公のルディは、名門のノートルダム大学の
アメリカン・フットボールの選手になることが夢だった。
ところが、体力的・技術的才能に恵まれず、
難読症のために、名門大に入る学力もない。
二重苦に敢然と立ち向かっていくわけですね。
高校を卒業し、夢をあきらめたルディは、いったん働くのだが、
「夢をあきらめるな」といつも励ましてくれていた親友の死によって
一念発起し、22歳になってから大学に入ろうとする。
まず学力を上げて大学に入ること、その次にすべての学生が入れる
わけではない、アメフットのチームに入ること、さらに、試合に出る
ことという3つのステップをクリアしなければならないんです。
彼の夢はチームに入ることではなく、試合に出ること。
二重苦を抱えながら、3つのステップを駆け上がるために
彼が持っていたのは情熱だけだったわけです。
この映画からは学ぶべき点はたくさんあるのだが、ぼくは2つのことを
考えた。1つは、「人が変わる」ということについてでした。
ルディがチームに入るテストを受けたとき、みとめられたのは
そのがむしゃらさだけだった。そのとき、コーチがこういう。
「チームには入れるが、少しでも手を抜いたら追い出すぞ」
その約束があったから、彼は練習でも手を抜かなかった。
そんな彼をチームメイトは、最初は冷ややかに見ていた。
大事な試合前にケガさせられては困ると、
練習台になったルディに怒り出すチームメイトもいた。
「なんであいつはあんなに熱くなってんだ」というわけです。
でも、あまりにもすさまじい練習態度にチームメイトの心境は
だんだん変わっていく。映画では詳しく語られていないけれど、
最初は彼をバカにしていたチームメイトが、しだいに彼を尊敬していく
ようになっていくんです。
ルディは図らずも、チームメイトの心境を変えていったわけです。
他人を変えることは、自分が変わることより難しい。
彼が一心不乱にやった結果の副産物だったけれど、
情熱は他人をも変えてしまうパワーを持っているということを
まざまざと見せ付けられた気がします。
もう1つは素質についてです。
素質には運動神経とか、暗記能力とか、理解力とか、感性など
先天的なものも後天的なものも指すわけだけど、素質の中で、
情熱ほど強いものはないと思う。
情熱は、運動神経などの素質を補うものとして考えられているけれど、
情熱があること自体が、一番の素質だと思うのだ。
彼の場合、情熱という素質があったことは確かだ。
彼の夢が叶ったのは、たった十数秒だった。サクセスストーリーと
してはあまりにも地味だけど、内容はあまりにも衝撃的なんです。
この映画は、運動神経など一般に素質と呼ばれているものを今すぐに
向上させることはできないが、情熱なら今すぐ持てるということを、
ぼくらに教えてくれている。