ロッテ「背番号26」に見る野球とサッカーの違い

千葉ロッテマリーンズのベンチには背番号26のユニホームが
飾られていることがよく記事になっている。
ベンチ入りは25人だから、ファンが26番目の選手だ
という意味だ。
サッカーでは背番号12だ。イタリアセリエAレッチェという
チームが、野球でいうところのファンであるサポーターに
背番号12を捧げた。言うまでもなく、12番目の選手という意味だ。
ロッテの応援団を見ていると、サッカーの応援を取り入れている
ようなところがあるから、背番号の件もそういう背景が
あったのかもしれない。
おもしろいのは、サッカーは12番目で、ベンチにいる
選手をカウントしていないのに対し、野球のロッテではベンチにいる
選手をカウントしているということだ。
ここに野球とサッカーの違いが見て取れる。
このことは、ベンチの控え選手のゲームへの影響は、サッカーよりも
野球のほうが強いことを意味している。
なぜなら、サッカーでは試合中にベンチに選手が帰ってくることは
交代しない限りないが、野球は攻撃になるとみんなベンチに帰って
くるからだ。
そこで、控え選手とレギュラー選手が話すことや、雰囲気が
勝敗に影響してくる。チームの士気というやつだ。
ロッテのファンが素晴らしいのは、「背番号11」としなかったことだ。
試合に出ているのはDHという打撃専門の選手を加えて
10人であるから、サッカー的に「背番号11」とすることもできた。
だが、それをしなかったところがロッテファンの奥ゆかしさだ。
あくまでも25人の選手全員でチームが成り立つということ。
加えて全員野球で勝つのだということも示唆している。
「ベンチで『なんでおれは出られないんだ』って腐っている
やつが1人でもいたら、絶対に勝てないよ」
とは、私たちが大学の野球でよくチームメイトに言っていたことだ。
テレビを見る人は、テレビに映るごく一部のレギュラー選手の
力関係で勝敗が決まっていると思いがちだが、
そうではないということを、ロッテファンは教えてくれている。