映画の中のミッキー

以前、連れと一緒に行った、ミッキーマウスの展示館のことを思い出した。
そこではミッキーのこれまでの主演映画が数分ずつ公開されていた。
『蒸気船ウィリー』というのが、ミッキーの初主演映画なのだそうだ。
この映画では、彼は動物を踏みつけて、ひねりあげて鳴かせることによって
楽器にするという、無邪気な一面を覗かせていた。
しかし、のちの作品の彼を見て愕然とした。
ドナルドというアヒルのキャラのおじさんの家で
文書整理係として勤めていたりする。
そこで「今日はクリスマスなんで、早めに帰らせてください」
とおじさんに頼み込んで、早めに帰してもらうようにするのだけど、
洗濯物を取り込むように命令されたりする。
ミッキーが洗濯物を取り込むのですよ!
また、別の作品では、テレビゲームをしすぎてミニーを
怒らせてしまい、ミニーの機嫌を取るためハワイ旅行に連れて行く
はめになり、アルバイトをするようになる。
ミッキーがアルバイトをするのですよ!
こうなるともう、はっきり言ってわけがわからん。
とても同一人物の所業とは思えん。
夢を売るべきディズニー軍団のボスとも言えるミッキーが
こんなことでいいのだろうかと思う。
定時きっかりに帰宅することを考えて時計を睨んでいたり、
テレビゲームに夢中になっていたりするのは、
はっきり言って幻滅である。見損なったよ。
といってもそんなにミッキーに対して思い入れがあるわけではないが、
世帯じみたミッキーなんか見たくなかったよ。
そこまで庶民的にする意図はなんだったのか。
今なら動物愛護団体から怒られそうな『蒸気船ウィリー』のときの
無邪気なミッキーのほうがかわいかった。
他の映画の中のミッキーは変に人間臭くて、かわいくなかった。
かわいいというか、かわいげがなかった。愛嬌がなかった。
ディズニーランドでたまに見る彼は、常に快活としていて
堂々としていて、軍団の長として十分な存在感を示していた。
上に挙げた後世の二つの作品はまだ全編を見ていないので、
時間があったら見てみて、なんでミッキーがあんなことに
なってしまったのか、分析してみたいと思う。