154キロ

誕生日の当日と2日後に数人からおめでとうメールをもらった。
そんなことはいままでなかったことだった。
その2日経った今日、ぼくと誕生日が同じ日のプロ野球選手が
登板した。年齢も同じ。同じ日に生まれたので、
こっちは勝手に親近感を覚えている。
それが中日の平井正史投手なんですね。
オリックスで、優勝も経験。
150キロの剛速球と鋭く落ちるフォークで、抑え投手として栄光を極め、
あの山田久志氏は「完成されたピッチャー」とまで評した。
その後に肘を故障。投げられない日々が続いた。
そこから肘を手術、今でも右ひじには痛々しいメスのあとが残る。
中日に移籍して1657日ぶりに勝ち星がついたのは2年前だった。
5年も勝てない日々を過ごしてきたのだ。
今日、ジャイアンツ戦に二番手で登板した。
清原選手に真っ向勝負で投じたストレートが
154キロを計測した。
どん底から這い上がった男が、自己最高スピードを出したのだ。
ぼくは思わずうなりましたね。
地味な努力をいっぱいしたんだろうね。
あきらめなくてよかったね。
すごいね。
ほんとうにすごいね。
なんかね、「おれはがんばってるよ。おまえもがんばれよ」って
言われているみたいでね。
勝手にそんなこと思ってテレビに釘付けになった。
人間、生きてりゃいいときもあれば悪いときもある。
大切なことは、マウンドに立って投げ続けることだよね。
そしたらきっといいことあるよって、
自分のことのように嬉しかった。
ぼくもしっかり立って投げ続けるよ。ありがと。