いつかまた逢える

この夏も母校の野球部の試合を気にしていた。
ベスト8をかけた戦いにコールドゲームで敗れ、今年も夢は夢と消え…。

夏になって高校野球が始まると、自分の母校や、出身県の甲子園での
結果を見ながら、「彼らはいまどうしているのだろう」と考える。
学校で机を並べたあいつ。
好きだったあの子。
くだらない冗談を言い合っていた。
いつまでもそんな時間が続くと思っていたあのころ。

普段は日々の生活に忙殺され、思い返すことのない、昔、地元で接して
いた人たちのことを、このときばかりは一瞬だけ思い返してみる。
今の生活がいつまでもつづくのかと思うと、ときどきぞっとする。
何も考えないでテレビを見続け、明るくなりかけた夜明けの空に
向かってタバコの煙を吹きかけていると、なんともいたたまれなくなる。

明日になったら、もう、きれいさっぱり忘れるのだけど。
それはもう、きれいさっぱりと。