男ってもんは

痴呆老人(認知症という言葉は、得体が知れないので
ここでは「痴呆」にします)に関する書物を読んでいて、
男ってこうなんだなあと思ったことがある。


痴呆になると、徘徊するようになる人もいるが、
彼らがどこに行くというかというと、女性は
「実家や生まれ育った家」というが、男性は
「職場」だという。
痴呆老人が施設などに連れてこられると、強い不安感から、
安心できるところへ帰りたいと思うのだそうだ。
その帰りたい場所は、男は家じゃなく、職場なんですね。
男は職場で有用な存在であることが、プライドを保つことになる。
地位とか名誉、それに役に立つ存在であることが大事なわけだ。
いま痴呆を患っている人は多くが60代以上だと思うけれども、
このうち男性の生活のほとんどすべては職場にしかなかった、
メインが職場で、家庭はサブでしかなかったということなのか。
それだけ一生懸命に働いたっていうことなんだろうけど、
なんだかさびしい気もする。