ホテル・ルワンダ

1994年当時、アフリカ・ルワンダフツ族によるツチ族
大虐殺(死亡者は80万人とも100万人とも言われる)を扱った物語。
フツ族である高級ホテルの支配人は、ツチ族である妻や隣人たちを
自分の危険を顧みず助けようとする。事実に基づいた話だ。
1994年にルワンダでは、大統領でありフツ族でもある人物が殺され、
それを契機にフツ族による、ツチ族への大量虐殺が起こる。
フツ族ツチ族も目鼻立ちはほとんど変わらず、見分けはつきにくい。
けれど、IDによって厳格に区別されている。
ツチ族を根絶やしにしようと、子供までも虐殺される。
ひたすら悲しくむなしいお話です。
こういう映画を観ると、平和がいかに難しいかを思う。
かつてのユーゴスラビアは、7つの国境、6つの共和国、5つの民族、
4つの言語、3つの宗教、2つの文字が存在すると言われた。
こうした国では人々を束ねる何かなければ、国は分裂する。
イラクのように同じ宗教をもつ人でも人種が違えば争いのタネになるし、
同じ人種でも宗教が違えば、これも争いのもとになる。
言語が違えば、分かり合えない。
「私たちは同じ国の仲間じゃないか」ということが通じない国がある。
地域的に分割するしかないとしても限度があるし、
交通機関や通信手段が発達する現在で、ボーダーを設けることは難しい。
ほかにもいろんな問題が見えてくる映画なのだけど、
同じ国の中でそれまでうまくやってきた民族同士が殺し合わなければ
ならないのかという現実が見えてきて、いっそう切なくなる。
ルワンダの虐殺については、これまで事実をほとんど知らなかったので、
今回少し調べてみて、勉強になりました。
あ、そうそう、今回印象に残ったセリフ。
テレビカメラをもって虐殺の現場を撮影したジャーナリストがいます。
主人公であるホテルの支配人が彼に言います。
「ありがとう。あなたのおかげで世界がルワンダに目を向けてくれる」
そこでジャーナリストは言います。
「いや、人々はテレビを見て『怖いね』というだけで、
ディナーを続けるでしょう」