カニはお好き?

先日、事務所にカニをいただいので、上司や同僚がよくいく
お寿司屋さんで調理してもらおうということで、私も誘われた。
1時間ほど遅れて到着すると、もうあらかた食べつくされて
しまっていた。
「ごめんね、もうすっかり食べてしまったよ」という。
でも、私は過去にカニ味噌で大当たりしたことがあるので、
カニは、足以外は食べられないのである。
カニ好きは「うしろをあけたところのがうまいんじゃないの」という。
「うしろ」というのは、カニ味噌が詰まっている箇所のことらしい。
車のハッチバックみたいに言わないでほしい。
そのうしろをカパッとあけるまでもなく、足だけ食べて私は退散する。
ただ、足はけっこう好きなんですね、これが。
カニが嫌いな人は「食べるのがめんどくさい」という。
専門店では豚の足の先のような形をした特殊な「ほじくり機」を
動員して身を取り出すのだが、あれが手間だという。
冗談ではない。
カニの醍醐味は、あの「ひと手間」にあるのだ。
「あれがあるからおいしいんですよね」と中年男性に言うと、
「なぁーにを言っとる。あれは人にとってもらうからうまいのだ」
と強く反論された。
彼らは旅館とかに行って、カニの身を取ってもらうことで、
「ああ、ええとこに来た」と思う世代なのである。
「わいもそういう身分になった」と感じる年代なのである。
ところが、私は違う。
すき焼きの店などで、サービスの方が全部やってくれるのがありますね。
ああいうのが、私、たまらなく嫌なんです。
いらんことすんなって思う。
子ども扱いされているように感じる。
なんか照れくさいというか、恥ずかしいと感じてしまう。
「こんなこともできないと思われているのではないか」
と思って、情けなくなってくるのである。
だから、全部、自分の手でやりたいのです。
「ぼくだって、ひとりでできるもん」と思いたいのです。
カセットコンロと、ダシの入ったナベ、材料だけ
テーブルに無造作に置いていってくれと思う。
「自分でできるでしょ。勝手にやんなさいね」というのが心地いい。
(と、ここまで書いてきて、前にも同じようなことを書いた
気がするが、それには気づかなかったことにして話を進める)
ただ、納豆のかき混ぜるひと手間はいらない。
あれはどうにかならないかと思う。
いや、かき混ぜるのはいい。
ダシとカラシを入れる手間をどうにかして省いてほしい。
あれははっきり言って苦痛だ。
人生のうちでかなりの部分を占める苦痛だ。
本当にどうにかしてほしい。