バイオエタノールに注目!

ぼくがいま最も注目しているのがバイオエタノールをめぐる動きです。
バイオエタノールとは、さとうきびやとうもろこしなどから
取れる糖質を発酵させてつくられるエタノールのことで、
化石燃料からできるエタノールとは区別してこう呼ばれる。
これをガソリンに混合して車を走らせる。
すでにブラジルではガソリンオンリー、ガソリンとバイオエタノール
25%の混合、バイオエタノール100%の三種類の燃料が
売られているそうだ。
いまトヨタやホンダなどががんばって研究開発している。
日本でもここ1、2年のうちにそんな車が走るようになるはずだ。
ただ、この車はゼロ・エミッション(廃棄物ゼロ)なのではない。
燃料電池車は水の電気分解の逆をやることで、電気を発生させ、
モーターを回して走るので、水しか排出されない。
バイオエタノール車は内燃機関で走るので、二酸化炭素は出る。
しかし、有機素材を使っているので、原料の植物が成長する過程で
光合成で吸収した大気中の二酸化炭素が大気中に戻されると考えられる
ため、燃焼による二酸化炭素は排出量としてカウントされない。
今後、車だけでなく、電池にもバイオエタノールが応用される。
こんな夢のような技術の実現が
すぐ目の前に迫っているということらしい。
ここで問題なのはコストだ。
さとうきびやとうもろこしを海外から輸入していれば
燃料のコストはガソリンと変わらないかもしれない。
しかし、日本で大規模に栽培すればコストの削減は可能かもしれない。
どこにそんな土地があるのかと言われるかもしれないが、
日本には休閑地がある。耕作を諦めた広大な「元田んぼ」だ。
さとうきびはどこでも育つというわけではないかもしれないが、
糖質が取れればいいのなら、麦や大豆でもバイオエタノールを生成する
ことは可能かもしれない。
日本がエネルギー資源産出国になれるかもしれないのだ。


さて、重要なのはここからだ。
今のところ地球温暖化の最も大きな原因のひとつとされている
温室効果ガスである二酸化炭素の排出量の問題は、
オイルマネーを抜きにしては語れない。
現在の中東の動乱は、石油が引き起こした問題なのだ。
アメリカが京都議定書の批准を拒否したのも
オイルマネーで説明がつく。
しかも恩恵を受けているのは産油国の人と、欧米の石油会社の
人であり、油にまみれて働く人は周辺諸国貧困層の人々なのだ。
石油の産出によって既得権益を得ている人が
超大国の政治権力も握っているとしたら、
環境問題など解決するはずはないし、
ましてやバイオエタノールを普及させようとするはずがない。
日本と中国の領海問題も油田が絡んでいるという話も聞こえてくる。
中東の平和、ひいては世界の平和と環境問題、経済(貧困)の問題は
すべて地続きになっており、その地で生活するのは
私たち自身だということだ。
卑近なところでできることと言ったら、ブラジルのように
三つの燃料が選べるとなったとき、たとえガソリンより割高でも
バイオエタノールを買うことだ。
それができるかどうか。
一人ひとりの心がけにかかっている。