誕生日

本日をもって、私が生まれてからちょうど地球が太陽の周りを
30回周ったことになる。人類が定めるところの30年である。


私が生まれたときのエピソードを両親から聞かせてもらったこと
はほとんどない。ただ、子どものころの写真はたくさんあった。
女の子を所望していた両親は、この世に生み落とされて、うるさく
泣くしわくちゃのその生物に、さぞかし落胆したことだろうと思う。
しかし、両親の愛情をたくさん注がれて私は育った。
最近、両親が、私が結婚して子どもをつくるまでは
両親としての責任がある、というようなことを口にした。
私は、ここまで無事に育ててくれたことで、十分に責任は
果たしたと言えるのではないかと言った。
両親は何も言わなかった。
ここまで無事に生きてこられた、ただそれだけで、もう十分。
責任も役割も十分すぎるほど果たしてくれた。
これからはそれぞれの人生をたのしんでもらいたい。


誕生日は、自分が年老いていくことに嘆く日ではない。
誕生日は、両親に感謝する日なのだと思う。
この世に生み落としてくれて、本当に、ありがとう。