彼女の、雪の思い出 

雪が降るとか、積もるとか言われていた今日、
小学生時代の出来事について彼女は語りだした。
「いつだったか、誕生日に雪が降ったことがあったんだよね。
私のために降ってくれたんだって、うれしかった。
それを覚えていて、その年の学校の作文に、
『よいプレゼントになりました』って書いたら、その作文が
入選したんだよ」
私は言った。
「『でも、この雪もいつかは溶けてなくなる。
それと同じように私も歳をとって死んで、最後は
なくなるんだ』みたいなことを書けば、全国コンクールで
金賞が取れたのに」
彼女は言下にこう言い放った。
「小学生がそんなシュールなこと書くかいッ!」