生き急ぎ

いまの仕事を志してからというもの、「よいと言われるものは
なんでも聴いてやろう、観てやろう」と考え、
いろいろなところに行き、いろいろなものを観てまわった。
映画を観て、日本各地に旅行に行き、演劇、お笑いライブ、
海に潜り、山に登った。
絵画やクラシックもほんの少し鑑賞するようになった。
もちろん、本も名作と呼ばれるものを読んだ。
はっきり言って、いまこの年齢で、この程度の人間性
知識量でいいのだろうとかという焦りがずっとある。
人は40歳になったら、「人生の折り返し」などと言うが、
誰が80歳まで生きると保障してくれるのか。
死んだらどうなるのだろうと考え、ぞっとして、
いてもたってもいられなくなってくる。
この生活がいつまで保たれるかと考え、怖くなって目を閉じる。
この生活がいつまで続くのかと考え、恐ろしくなって目を開ける。
時間が経つのが早すぎる。
いろいろなことを見聞きするのに、人生は短すぎる。
あとどれだけ生きることができるのか、死んでみなければ
わからないが、それがわかったら、どんな気持ちがするんだろ。