約束

福井県の豪雨災害に、二億円の宝くじ当選券が
福井県知事に贈られたという出来事があった。
送り主の名前も住所も架空のものであったらしい。
この話を聞いて、ニコラス・ケイジ主演の映画、
『あなたに降る夢』を思い出した。
うだつの上がらないニコラス・ケイジ扮する、ある警官は
ふらっと立ち寄った町の喫茶店で、チップの代わりに
「この宝くじが当たったら半分あげる」と、
あるウェイトレスに約束する。
宝くじは本当に当たり、二人は大金を山分けする。
なぜそんな大金をあげるのかと記者に聞かれたこの警官は、
「約束を守っただけだよ。誰にでもできる。簡単なことだよ」
と言った。これは実話を元にした映画だ。
約束を守るという、ものすごく簡単なことが、
たまにできなくなることがある。
約束したわけではないのに、困っている見知らぬ誰かのために
大金をポンと差し出すことは、誰にでもできることじゃない。
日々の些細な約束ひとつさえ、
守れないことがあるというのに。