柿の実の不思議

近所の家々の庭先に柿がなっている。
ほとんど興味を失って、熟れても引力にまかせて放置した
実が道路に落ちているお宅もあるが、
ちゃんと間引いて大きく太らせているお宅もある。
柿の実は渋柿であっても、渋みが消えてあまくなる。
渋みの成分は、タンニンというポリフェノールの一種で、
これを食べると、舌が渋みを感じるわけだ。
ところが、このタンニンが不溶性に変化することがある。
そうなると、タンニンを口に入れても口の中に溶け出す
ことがないので、渋みを感じなくなる。
不溶性にするには、お湯につけたり、アルコールにつけたりする。
すると、柿の実が呼吸できなくなって、アセトアルデヒドができる。
アセトアルデヒドは、お酒を飲んだときに体内にできる物質だ。
このアセトアルデヒドによって、タンニンが不溶性になるのだ。
お湯につけたり、アルコールにつけたりして、
渋みをなくすことを「渋を抜く」という。
渋を抜かなくても、実に種ができると自然に渋みが抜ける。
種ができる前に食べられてしまうと、いけないので、
種ができる前までは実を渋くしておき、種ができたら
鳥などに食べてもらって、遠くへ運んでもらおうということだ。
柿はその種類によって、甘くなる時期が違うようだ。
かなり早い段階から甘くなる柿もあれば、
そうとう熟れてからでないと甘くならない柿もある。
ちなみに、柿の実にある黒い斑点は、
タンニンが不溶性になった状態の姿です。
黒い斑点が多く入っている柿ほど甘いということだ。