列車事故に遭遇

わけあって今日は、群馬の桐生市を訪れていた。
所用を終えて、13時7分、赤城駅りょうもう32号に乗車した。
北千住までだいたい1時間半ぐらいかかる。
足利周辺で、渡良瀬橋渡良瀬川を見ながら、森高千里
渡良瀬橋」を聞いて、しばらくしてからだった。
ガツンと音がして、車両の私が座っている側から煙が見えた。
「何かにぶつかったのではないか」
すぐに列車は緊急停止。
どうやら線路域内にあった乗用車と接触したらしかった。
車は大破。電車にも不具合が見つかり、走行不能となって、
私たち乗客は列車の最後尾の車両から線路を歩いて
最寄りの鷲宮駅まで歩いた。100メートルぐらいだっただろう。
その後、駅で改札を出ようと列をつくった。
特急券の払い戻しをしてもらわなければならない。
ところが、そこでだ。
年配の男性の怒声が聞こえる。
「バス、出してくれよ!」
タクシーはポツン、ポツンとしか来ない、
歩いて先の駅まで行くには遠すぎる。
東武バスはあるだろう。おんなじ会社なんだから出せよ」
次第に命令口調になって、駅員に詰め寄っている。
会社が同じだからといっても別会社なのだから、難しいだろう。
どこも人員がギリギリだし、バスだって遊ばせておく余裕など
ないはずだ。
こういうときにキレるのは年配の男性だと言われていたが、
本当だと思った。「ああ、テレビでよく見るやつだ」と思った。
年配の男性たちというのは、世の中がどんどん便利になっていくのを
まさにリアルタイムで体感した世代で、
この便利な世界が当然だと思っている人もいる。
我慢するか、自分で状況を打開するしかないことを
私たちは東日本大震災で学んだのではなかったか。
与えられなければ怒鳴り散らすなんて、本当に情けないと思った。
こういう輩を相手にしなければならない駅員には同情する。
私は結局、鷲宮駅からJR東鷲宮駅まで30分歩き、
そこからまた2時間半近くかけて電車で家に帰った。
ふだん歩いていたのがよかった。
そうでなければ、知らない道を30分歩こうとは思わなかっただろう。
事故は誰の身にも起こる。それを予測することはできない。
できることは、起こったあとに冷静に対応することだ。