思いやることを教えた母親

ジブリ映画の「おもひでぽろぽろ」がミュージカルになって
公演されることをポスターで知った。
おもひでぽろぽろ」といえば、ジブリの中でもリアル派の
高畑勲監督の作品で、少女趣味といえば少女趣味だが、
その実、結構、現実的な話が多い。
なかでも印象に残っている下りがある。


タエ子が5年生のとき、学芸会での演技が認められ、
日大のおにいさんたちから「大人の演劇」への出演を打診される。
しかし、父親に反対され、出演を断念せざるを得ない。
後日、タエ子は自分の替わりに級友のA子が大人の演劇に
出演することを知る。タエ子はいう。
「A子ちゃんはよそいきの服を着て、日大のおにいさんの
お迎えで日大に行ったのよ!」
母は無残に切り返す。
「日大のおにいさんが最初にタエ子のところに来たことを
言っちゃダメよ。A子ちゃんが聞いたら嫌な気持ちになるでしょう」


タエ子は、「私のところに最初に来た」ってクラスのみんなに
言って自慢したかったんだよね。
それを母親に阻止された。でもそれでよい。
自分の子どもがかわいいだけの親が多いなか、
相手の気持ちを思いやれるこの母親はエライ。
いっとき自尊心を満たすより、相手を慮ることの大切さを
さりげなく教える――こういう親になりたいと思う。
ミュージカルは見てみたい気がするが、DVDになんないかなあ。