心の糧

いままでつくった本を中国語で出版したいという申し出は
何度かいただいたが、つくった本が受刑者のための矯正用教材に
なるというのは初めてだ。
著者も快諾してのことで、ライター冥利、編集者冥利に
尽きるというしかない。
私などがつくった本がそれほどの役に立つとは思えないが、
著者の言説はすばらしいのでよかったと思う。
私たちの耳には更生よりも再犯のほうが入ってきやすい。
だから、一度罪を犯したものは、刑務所で矯正して、更生してもらって
世に出てきてほしいと思うものである。
出所して再犯する人もいれば、本当にまっとうな人生を歩む人もいる。
生まれ変わった人生を一生懸命生きている人の話はメディアに出にくい。
「他人の不幸は密の味」だからだ。
私たちが知らないだけで、更生している人はたくさんいて、
その人たちは宗教やいろんな思想を学んで生きていく心の糧を得る。
そうした心の糧に少しでもなれれば、これほど嬉しいことはない。
これからもそういう本をつくっていきたいものです。