「命懸けで仕事している」

私は「命懸けで仕事している」という人は信用しない。
こういう人はだいたい、自分のことをエライと思っている。
命をかけるというのは、昔で言えば、特攻隊であるとか、
回天に乗った人であるとか、今でいえば、自衛隊や消防や、
警察官といった職業でなければ、
そうそう命の危険にさらされることはない。
「命を懸けて仕事している」という人は、
こういう職業の人の前で同じことが言えるのかな。
私のように出版物をつくるというのは、
こういう職業の人から比べたら、余暇活動に近い。
不要不急の仕事だ。
衣食住や、安全や健康といったものを守ってくれている人がいる
おかげで、やらせてもらうことができる仕事だと思っている。
「命を懸けて仕事している」という人は、
自分がエライと思っていて、謙虚さが足りない。
人からエライ人だと思ってもらいたいという欲求は
邪魔になることはあっても、得することはない。