月見と水

先日、花見について書いたが、月見はかつて花見よりも
人気のイベントだったそうだ。
4月のまだ肌寒い時に外で花を見るよりも、夕涼みがもっとも
気持ちいい季節の9月の月見のほうが人気なのはよくわかる。
この月見のとき、人々は水面に映った月を見た。
直接、月を見ることは、けがれを負う行為だった。
詳しく調べてみたことはないが、たぶん陰陽道の影響だろう。
夜を支配する月を直接見ると、よくないことが起こると
考えられていたのだと思う。
月を見るため、庭園の南側にはよく水がたたえられているところがある。
銀閣寺とか、三島の楽寿園の中にある邸宅もそうだ。
邸宅から池に映った月を愛でるのが、貴族のたしなみだった。
なんという風流な文化だろう。
水がたたえられている場所が、なんとなくいい景色として
現代人の私たちにも感じられるのは、そういう昔の人の感覚が
残っているからなのかもしれないね。