「大いなる陰謀」

ロバート・レッドフォード監督が自ら主役の一人を勤め、
トム・クルーズメリル・ストリープを擁して
「米国の矛盾」に挑んだ意欲作。
トム演じる政治家が机上でアフガンでの新作戦を立案する。
それをリークしようとする老記者のメリル。
ロバートは大学教授で、優秀だけど何もしない学生を諭しつつ、
不本意ながらも教え子を、アフガンでの新作戦に送らなければ
ならなくなる。
戦場、政治家のいる一室、大学教授の研究室という3つの場面で
主にセリフだけでストーリーが展開する。
イラクでの反省を踏まえつつ、戦争での「成功」が欲しい政治家、
スクープがほしいテレビ局、教育者は何ができるのか、
それぞれの立場で、それぞれの考えを披瀝する。
立場が違えば責任が違い、責任が違えば行動も違ってくる。
どの立場の人にもその人なりの正論がある。
「最も大事にするもの」が人それぞれなのだから、
ある程度はしかたがないことだ。
けれども、そういう人たちが集まった「国家」では、
国家として何らかの選択、決断をしなければならない。
そして、みんなが「苦渋の決断」をすることで、
戦争へと踏み出していける。
そういう心の壁を徐々に崩していくものはいったいなんなのか。
それはやっぱり「自分かわいさ」なのではないか。
結局、根底にこれがあるんだと思います。
物語が陳腐に流れないように配慮されているんだけど、
ちょっとわかりずらいところもあり、もっと映画的な仕掛けが
必要かなとは思いましたが、まずまず観られました。
観るなら早いほうがいい、とだけ言っておきましょう。