ipad発売を注視する

米国でipadが発売され、すでに30万台が完売、
25万冊の電子書籍が購入されたという。
ipadiphoneを3倍ぐらいに大きくした印象で、
液晶タッチパネルスクリーンで電子書籍だけでなく、
動画を再生でき、各種アプリも稼働できる。
電話ができない、大きくなったiphoneみたいなもんである。
さて、これが日本でも4月下旬に発売されるというのだが、
電子書籍が用意されていないのに日本で売れるのか。
日本の書籍を表示するソフトが規格統一されていないため、
日本語コンテンツが揃わない。
出版社が協会をつくっていろいろ検討しているが、規格統一して
もうけてやろうというよりは、自分たちの出版文化、既得権益
いかに死守するかということが念頭に置かれているような
気がしてならない。
このへんの権利意識、ビジネス感覚はアメリカとはまったく違う。
電子書籍を表示する端末としては、米国ではアマゾンが発売した
キンドルが先行して、最大シェアを握っている。
そのアマゾンが、ipadの発売にともない、アマゾンで買った
電子書籍ipadでも読めるように専用アプリをリリースしたのだ。
そのアプリのリリースをアップルも認めている。
利用者の使い勝手を上げることが、市場拡大、ひいては自分たちの
利益に寄与すると考えているのだ。
電子書籍市場そのものを拡大することが、さらなる利益を生むと
考えているように見える。
日本のビジネス感覚だと、客の囲い込みのために「なぜうちで買った
ものを他社の端末で読めるようにしなきゃならんのだ」と
考えそうである。アマゾンやアップルは違う。
こういう発想は日本にはできない。
自分たちだけが儲かることしか考えてない。
日本の出版社は、電子書籍化の際に紙の本の4分の1で販売している。
印刷・流通、在庫管理のコスト、売れ残りのリスクなどがないのに、
著者への印税は同じに設定している。
これだとアマゾンやアップルが印税を高くして電子書籍
販売するとなれば、著者は出版社をスルーするようになる。
本来であれば、出版業界全体が端末業者と組んで規格を統一し、
販売のプラットフォーム(音楽におけるitunes storeのようなもの)
をつくってイニシアチブをとるべきだった。
だが、もう遅い。
黒船はもうやってきている。
販売プラットフォームがアップルになるのか、アマゾンになるのか、
それともグーグルになるのか、それだけの違いだ。
これから考えるべきことは、こうしたプラットフォームをうまくつかって
電子書籍市場を拡大し、紙の本と合わせて、「活字市場」を拡大することだ。
活字を執筆し、編集でき、ある程度の長い文章を読めるようにできるのが、
出版社、編集者の役目である。それが生かされ、儲かればいいのだ。
自分のところだけが儲かればいいというのではなく、
業界全体が活性化することで、引いては自分たちも儲かるという
長期かつ、スケールの大きい視野でビジネス展開していくべきなのだ。
とりあえず、日本語のコンテンツが出てきたら、キンドルipadか、
どちらか買ってみようと思っているところです。