『コンタクト』を見る

こういう名作の存在は初めて知った。
ジョディ・フォスターが地球外生命体を研究する科学者を演じる。
研究助成金が途切れると知らされて失望していたある日、
彼女は宇宙からの電波を傍受する。
その電波はベガから発せられたものがわかり、
ノイズのすき間にマシンの設計図が潜り込んでいることがわかる。
そのマシンは、おそらくベガへ異次元旅行するものだろうという
ことで話が展開していく。
最初はなんの映画かよくわからなかったが、
美しい映像と、どうやってこの物語を収束させていくのかという
興味が引き付けられ、画面に釘づけになっていった。
宇宙人ものはどうやってオチをつけるのかとても難しい。
どうやっても陳腐になってしまうからだ。
でも、そこをうまくクリアしていて、哲学とか宗教といった
高尚なテーマにうまく結びつけていた。
宇宙人はいるだろう。でも、彼らと会うためには、人間の寿命は短すぎる。
寿命が尽きる前に宇宙人と会うには、光の速度を超えるスピードで
移動しなければならない。それをやるには異次元旅行しかない。
時空を超えた旅をすることによってはじめて宇宙人と会える。
ということは、そういう技術のある宇宙人が向こうからやってくるか、
何千年、何万年もの寿命のある宇宙人がやってきてくれるしか
彼らと会うことはできない。
そんなことが可能かどうかがわからないので、
宇宙人画いるかどうかはわからないし、証明もできない。
たぶん、神の存在も同じようなことなのだろう。
つまり、信じる者にとっては「存在する」ということでいいのだと思う。
証拠のあるものとか、目に見えるものだけを信じるようになったら
人間はおしまい。
なにしろ、それを信じることができるのは、人間だけなんだから。
この映画は、そんな哲学的な考えを頭に浮かばせてくれる良作でした。