人間をまるごと肯定する

元受刑者がどうやって社会復帰するかという議論の中で、
協力雇用会社というのがある。
彼らは好意で元受刑者を雇用している。
もっとこういう会社が増えるように、
税制面や補助金などで優遇すればいいという議論がある。
そんななかで、ポロっとこういう人がいる。
「元受刑者がいるとわかったら、その会社や店のイメージが
悪くなるよな」
ここがまったく私とは感覚が違う。
私は「素晴らしい店(会社)だな。こんなところで買い物とか
食事してみたいな」と思う。
そう思うのは、こういう会社なり店が増えて、元受刑者たちが
やり直せる機会が増えたら、再犯も減って、社会が安定すると思うからだ。
その根底には、人は誰でも間違いを犯すものであるし、
やり直しのできる社会のほうが生きやすいという考えがある。
そういう、人間をまるごと肯定する見方がないと、
「犯罪を犯した奴は再起不能にすべし」という、
極端な社会になってしまう。
「自分の子どもが被害にあったら同じことが言えるのか」という人がいるが、
それは「自分の子どもが加害者になったら同じことが言えるのか」と
セットで語られなければならないだろう。
生きやすい社会というのは、私たち自身がつくるものだよ。