「私って、何者?」

最近、まとまった分量のある本というものを読めていない。
去年の12月ぐらいから、ありがたいことに仕事がたくさんあって、
普段読む電車内でも、集中力が続かず、もっぱら雑誌を
ざくっと読む程度にしている。
最近目についたのは、県民性を扱った記事。
会社の管理職が読む雑誌なのに「県民性」なのだ。
県民性を扱ったテレビ番組も人気らしい。
なぜいま県民性なのか。
思うに、グローバル化の裏返しなのではないか。
グローバル化する社会の中で、人々は流動化し、周囲に外国人も増え、
自分が何者であるかを感じる確かなよりどころを
失いつつあるのが現代であろう。
昨今の「県民性」ブームはこうした背景のもとに、
「より身近なところから、足元を見つめなおしていこう」
とする無意識の心理によって成立していると思われる。
自分を紹介するとき、会社の肩書きや職種を取っ払ったら、
何を伝えればいいだろう。
私なら、
「1975年、岡山県出身、高校まで岡山で育ち、
大学進学時に上京、現在に至る」
ということで、だいたいの素性はつかめる。
でもこれが、各地を転々とした人の場合はどうか。
「私って何者?」という疑問を覚える人は意外と多いんではないかと思う。
そう、これらをアイデンティティというのであった。
これを持つのが実際難しい。
昨今言われる「絆」じゃないけれど、会社の肩書きや職種でない、
何か別のつながりが必要な気がするのである。