震災で変わったこと

震災で考え方が変わった、人生観が変わったという人は
少なからずいるのだろう。
そういう報道もよく見聞きした。
私はというと、ひとつ思いを強くしたことがある。
それは、「自分の頭で考える」ことの大切さだ。
私はこれまで多くのビジネス書、自己啓発書をつくってきたが、
どの本にも通じることは、
良くしてもらった人にはお返しをするとか、
ありがとう、ごめんなさいをちゃんというとか、
私たちが家庭や学校で教わってきたことだった。
それだけがすべての本に共通する事柄であって、
あとは枝葉末節な、その場その場の方法論にすぎない。
したがって、それらの方法論は業界ごと、会社ごと、個人ごとに違う。
言っていることがまったく正反対な場合もある。
でもそれは彼ら(著者)が数々のトライ&エラーを繰り返して
見出した方法なので、実効性がある。
大切なのは、実効性のある方法を得るには、
自分の持ち場、役割、特性などを踏まえて、彼らのように
トライ&エラーを繰り返すしかないということだ。
そして、自分なりの成功方式を見出すしかないということだ。
だから、ビジネス書や自己啓発書は、そのまま実行したからといって
すぐに結果が出るようなものではなく、本に書かれてあることを
ヒントにして自分なりの方法を見つけたり、自らを奮起させたりする
ためのものとして読むべきなのだ。
本はもともとそのようにして読むものであって、「やっても結果が
出なかった。この本はインチキだ」などというのはナンセンス。
他の人の成功体験をそのまま実行しても絶対に成功しない。
自分の持ち場、役割、特性などを踏まえて、自分の頭で考え、
自分なりの結果を出すしかない。


その思いが震災によって強くなった。
放射能汚染の問題がそうさせた。
信用できるものが何もないというとき、何を信じるか。
神ではないとしたら、自分しかない。
自分の頭で考え、出した結論に沿って行動し、
その行動に自ら責任を取るという生き方だ。
本来、それが本当の生き方であるはずだ。
しかし、今の世の中は、自分の頭で考えなくても
頭のいい人たちが替わりに考え、解決策を提示してくれる。
ネットで検索すれば、ほとんどの答えが見つかる。
そのほうが楽でもある。
でもそれができないとなったとき、頼れるのは自分しかない。
誰のせいにするでもなく、自分で学んで自分で考え、
自分で責任を負う。
今年もそういう生き方を深化させていきたい。