半額にしてくれたらいいのに

テレビショッピングが大学生のころから好きである。
地味な料理番組と同じくらい好きである。
先日はひざベルトのテレビショッピングを見た。
これまでは両足用に2つだったが、今度は4つになったという。
「足は2本しかねーし!」とテレビの前で毒づいていると、
これはまでは春夏用のひざベルトだけだったが、
「今回は秋冬用をおつけします」とのことらしい。
でも、「お値段据え置き!」という。
この「モノが2倍になってもお値段据え置き」は
「布団圧縮袋」で全国民が経験済みである。
あれは2枚が4枚に、4枚が8枚にというぐあいに、
ねずみ算式に増えていくという特徴がある。
にもかかわらず、値段は据え置きである。
洗剤や衣装ケースも同じで、モノは増えるのに値段は変わらない。
人々は「半額にしてくれたらいいのに」という。
しかし、どうなっても半額にはならない仕掛けがある。
というのは、テレビショッピングというのは、テレビで宣伝することに
莫大なコストがかかっており、そのコストが価格に跳ね返っているからだ。
宣伝費を価格にのっけているから高い。
テレビ広告に莫大な費用が発生するのは、テレビ局社員が高給であったり、
タレントのギャラが高額であることから明らかだ。
つまり、モノ自体の値段は非常に安いので、モノを増やしても利益に
大きな差は生じないからああいうことができるわけだ。
テレビや新聞しか情報源がない高齢者向けの商品が多いのは、
若い人はみんなネットで買うからなのだ。
一般的にはまだまだテレビの情報は確かだと思われているので、
「テレビでやってた商品」ということで信頼感があり、
安心して買うことができる。
モノを買っていながら、実は安心感を買っている。
モノではなく、タレントやテレビ局社員にお金を払っているのだ。
お金がある人は面倒なネット検索などせず、
少々高かろうが電話一本で買う。
テレビショッピングはやっぱりお金をもっている人のためのものなのだ。
そう考えると、まだまだ日本人はお金持ちなのだと思う。
テレビショッピングが少なくなったらいよいよ時代が変わったということ。
それにしてもこのテレビショッピングに出てくる
ひざベルトをしたおばあさんの階段の降りるスピードの速いこと。
「絶対、体になんか打ってる!」と思うぐらいだ。
見かけたらぜひこの話を思い出し、失笑してほしい。