本当の優しさって?

もうすぐ6歳になる長女の幼稚園から、
園児の会話や様子が書いた通信紙が届く。
子どもらしい会話が載っていてほほえましいのだけど、
先日、とても感心した話があったので紹介する。
園では年長は1クラス30人で構成されていて、
各6人が1つのグループを形成。
このグループは1年に何度か組み替えが行われる。
グループにはリーダーが1人決められて、
集まるときの号令をかけるなどの役割がある。
長女のクラスでは、最近組み替えがあって、
あるグループでは6人中、3人もリーダーをやりたい子
がいて、リーダー決めが難航していた。
どうしてもリーダーをやりたいAくん、
同じくどうしてもリーダーをやりたいBちゃん、
Cちゃんはリーダーをやりたかったが、考えが変わって、
Aくんを援護する側に回ったCちゃん、
状況を冷静に見て話をまとめようとするDくんが
中心になって話は進む。
すでに何日も話し合いは続いていて
Cちゃんは、Bちゃんに対して、Aくんに譲ってあげろという。
Bちゃんは前に何度もリーダーをやったことがあるから
というのがその理由だ。
BちゃんはAくんがすぐ泣くから、リーダーはできない、
自分のほうがリーダーに相応しいという。
Cちゃんがいう。
「Bちゃん、Aくんに譲ってあげなよ。
譲ってあげないのは優しくないよ」
そこでDくんがこういった。
「それは違うよ。譲ったほうの気持ちは?」
私は唸った。
「譲れと人から言われて譲るのは優しいのか。
じゃあ、それで譲った方の気持ちはどうなるのか。
譲ったから優しい、譲らなかったから優しくないというものじゃない」
ということだ。
ここまで人の感情に配慮することができるものだろうか。
こんなことを考えるのは、大人だって難しい。
優しさというのは、人から言われてではなく、
自分の気持ちから出たものをいうのだ、
彼はそういっているのだ。
「こういうことを言ったら、相手はどう思うか」
を考えることは比較的たやすい。
でも、傍から見ていて、双方の気持ちを考えて、
どうあるべきかを判断するのは難しい。
ある一方の立場からしかものごとは眺められないものだし、
それが感情の話ならなおさらだ。
でも、冷静に「優しさってそういうもんじゃないだろう」
という意見には正直、驚いた。
6歳にもなると、ちゃんとした話し合いができるのだ。
こういう話し合いを経験すると、ちゃんと自分の意見を
言えるようになる頭の回路が育つ。
長女にもこうした話し合いに積極的に参加して、
回路を育ててほしいと思う。
結局、リーダーは「泣かないでがんばる」と宣言した
Aくんがやることになったそうだ。