弱者の視点

私はけっこうインフルエンサーの人のSNSでの発言を

見聞きするのが好きなほうだと思う。

だいたい7,8割は賛同できるのだけど、

テーマや内容によって賛成できないものもある。

こういう人たちの中で「いいことは言うけど、

尊敬できないな」と思う人の特徴は、

「弱者の視点」がない人だ。

能力があったり、世渡りがうまかったり、お金があったりする

ような人たちの視点としては、いいことを言うと思うことは

たくさんある。

だけど、弱者の視点がないのは片手落ちなのだ。

常にマイノリティはどう感じるかというのがないといけない。

なぜそうでなければならないかというと、

それは自分もいつかは弱者になるからだ。

弁解の余地なし 

静岡県知事が、

「毎日野菜を売ったり、牛の世話をしたり物を作ったりとかと違って、

基本的に皆さんは頭脳・知性の高い方たちです」

と発言した問題。

これはもうどう考えても、これらの職業の人たちを

一段下に見た発言で、「キリトリ」とは別次元の話だろう。

職業の貴賤を言うのもそもそもだが、

農業(畜産)や販売、ものづくりの人たちが

いかに頭を使っているか知らないのがヤバい。

農業はいまやハイテクで、新しい技術、機材がどんどん出てきて、

技術革新が起こっている。

販売員だって、さまざまな心理テクニックを使って、

消費者が気持ちよく買い物できるように頭を使っている。

ものづくりなど、言うまでもないこと。

こういう人が大学の先生だったってことも驚きだし、

知事を4期務めたというのも驚愕。

こういう発言は今の時代だからダメなんじゃなくて、

ずっと昔からダメでしょう。

静岡県民を辱めたという意味で二重に悪い。

弁解の余地なし。

違ってあたり前

東京西部はいまが桜満開である。

この時期、川沿いに連なって咲く桜を見ながらのジョギングは

もっとも楽しみなことのうちの一つである。

一斉に咲くソメイヨシノだからこそ、この景観が成り立つ。

ソメイヨシノエドヒガンとオオシマザクラを掛け合わせた

1本の木を増殖させたもので、すべてはクローンだ。

だからこそ、一斉に咲く。

だけど、よく見ると幹の発達や枝ぶりはそれぞれに違っている。

それぞれに土壌の様子や傾斜が違っていたりするから、

それに合わせて幹や枝を伸ばした結果だろう。

生まれ持ったものと、環境に影響を受けたもので、

その個体が受ける影響はおよそ50:50と思っている。

生まれもったものによって、一斉に咲くけれど、

幹や枝の様子は違う。

クローンでさえこんなに違うのだから、同じ親といえども

別の時期に生まれた子は育った環境が違うから

違った個性になるのも当たり前という気がする。

遺伝子がほとんど同じでもそれぞれに多様性がある。

遺伝子がちょっとでも違っていたら、何をかいわんやである。

いろんなところに配慮

子どもたちの中学生の保健体育の教材を見ていると、

時代の変化を感じます。

たとえば、ダンス。

これみんなの前で創作ダンスとかやらされるのは地獄だなと思う。

フォークダンの項目を見ていると、男子役、女子役とあり、

男子、女子とは書いてない。

性の多様性に配慮しているのだろう。

「じゃあ、AとかBにしたら?」と思うかもしれないが、

フォークダンスは海外の国々の伝統的な踊りであり、

生活や習慣に即した誇らしいものであるので、

それを勝手にAとかBにするのも違うと思う。

いろんな配慮をした結果、男子役、女子役になったのだと思う。

学校現場は本当に苦慮する場面が多いと思うが、

先生たちも新学期で気持ち新たにがんばってほしい。

いろいろ増額 

国民年金保険料が上がった。

月に460円である。

夫婦二人分だと月額×24か月分なので、年間1万1040年の増額。

これは地味に痛い。

あと、子育て支援金が健康保険料に上乗せされて、

これは1人1か月で500円なので、5人だと月に2500円。

年に3000万円の増額になる。

子どもが3人で児童手当や、都の018サポートなどがあるので

なんとかやっていけている状態。

収入が伸びていかないと数年先は厳しくなるだろう。

未来のための投資と考えて、ここは踏ん張るしかない。

考えたり、想像したり 

普段からなんも考えてないんだなという人いますね。

頭がいいとか悪いとかの問題じゃなくて、

ちゃんと自分の頭で考えたり、想像したりしてみようって

いう人生に対するスタンスがない人は、

無用にイライラしたり、腹が立ったり、不安になったりして、

生きるのがしんどいと思う。

たとえばね、ラーメン店で「ネギ多めで」と注文した客が、

会計で100円増しで請求されて、

「俺はネギ増しとは言ってない、多めでといっただけ」

とかいう言い訳をしていたなんて、まさにそれ。

「ネギ多め」が無料で通ったら、ネギ増しを頼む人が

いなくなって経営圧迫されるよね。

ちょっと考えたらわかるはず。

「最近はタトゥしてる人も多いから、タトゥは

公衆浴場とかプールでOKにすべき」

という人がいるけど、和彫りとタトゥを見分けるのは

素人では難しいから一律NGにしてるんでしょ。

一瞬納得いかない対応に見えても、

相手の立場になって考えてみたら、理解できることは多いんですよ。

悩み苦しんだ時期 

私が30代のときに見た映画で印象に残っているものがある。

リトル・ミス・サンシャイン』というロードムービーで、

そこで登場人物がこういう。

 

 

プルーストは晩年になって言った。

『悩み苦しんだ時期こそが

自分らしさが形成された時期だった。

幸せな時期は学ぼうとしないから無駄だ』とさ」

 

 

マルセル・プルーストはフランスの作家。

代表作『失われた時を求めて』は世界的に有名な著作です。

私はまだ晩年になっていないが、中盤戦を過ごしていても

その通りだと思います。

なぜこのことで悩み苦しむのだろうと考えてみると、

自分のことがわかる。

自分はこういうのが嫌いで、こういうのが好きなのだ、

こういうのが得意で、こういうのが苦手なのだ

というのがわかる。

自分らしさが形成されるなら、うまくいかない時期は無駄ではない。

でも、それは逃げずに戦った場合だけ。

もがいて、あがいて、あちこちぶつかりながらでも、

なんとかやっていく。

それだけあれば、社会人になってもやっていける。